*願書や保護者面接は合否に大きく影響します。受験校のホームページから抜き書きしたような志望理由であれば、「合格しても入学する気のない受験者か」と警戒されます。お子さんが頑張って合格圏内に入っているのに、父親が志望理由をきちんと答えられなくて不合格になったというケースは「まれに」ではなく「たくさん」あるとおもってください。幼稚園・小学校受験は親の試験といわれる理由もそこにあります。
*面接官が「志望理由」で知りたいことは2つです。1つは、「どんな子」か。もう1つは、志望校のことをどれくらいわかった上で志願しているかです。 *将来どんな生き方をしてほしいのか、どんな人間になってほしいのか、そのためにどんな育て方をしてきたのか。どんな子に育ったのか。その延長線上に志望理由があります。
*原文ではどうでしょうか。「こういう子供になってほしい」ということはよくわかりますが、肝心の「どんな子か」がまったくわかりません。
*「自らすすんで正しいことができる」「困難にあっても常に前向きに取り組む」「自分を大切にし、それと同様に他を敬う心を育てる」とありますが、少し欲張り過ぎています。
*学校が求める子ども像は、もっと素朴なことです。たとえば、身の回りのことは自分でできるか、大人から名前を呼ばれたときにきちんと返事ができるか、友達と仲良く遊べるか、食べ物に好き嫌いがないか等々、その辺が年齢相応に育っているかどうかです。それが基本です。
*「御校の教育方針と通じるものがあると自負しております」と言い切っていますが、これは、願書でも面接でも「禁句」と思ってください。「うちの学校に合う家庭か、保護者か、子どもか」は面接官が判断することです。こちらから言い出すのは押しつけとなり、面接官がもっとも嫌います。
*この志望理由は、志望校の教育方針との一致を強調したいために書いたと思いますが、これは逆効果です。面接官は終始穏やかに問いかけ、保護者の答えにさも感心したようにうなづきますが、我慢して聞いているのかもしれません。「志望校の教育方針との一致」型志望理由は避けるのが賢明です。
*「自らすすんで正しいことができる」「困難にあっても常に前向きに取り組む」「自分を大切にし、それと同様に他を敬う心を育てる」の3つを、どうしても強調したいのであれば、それぞれに具体的なエピソードを添える必要があります。 *その場合、面接官を納得させるエピソードになっているかどうかをよくお考えください。たとえば、「赤信号を渡ろうとした大人に向かって注意するなど、正義感の強い子どもです」などと書いてしまうと、面接官は「こういうタイプの子の担任にはなりたくない」と敬遠されるかもしれません。 *正義感の強い子=正義感の強い保護者=クレームの多い保護者と誤解されてはなりません。むろん、正義感の強い子は敬遠されるとか不利というわけではありません。 *最初に書いた文案にこだわらないというのであれば、全面的に書き直してください。そのときは、お子さんをよく観察してください。笑顔がとびきり可愛いのであれば、それはなぜか。幼稚園を1日も休まないほど健康なお子さんだったら、それはどうしてか。 *いろいろな「なぜか」「どうしてか」を突き詰めて行くと、家庭の教育方針やどんなお子さんかが自然と見えて来ます。